東日本部落解放研究所

鉦打・時宗研究会の紹介

カテゴリ:研究活動

「かねたたき」/『七十一番職人歌合』前田育徳会本)これが中世における鉦打の姿ではないかと見られている。

鉦打は、近世社会において東日本を中心に広く存在した時宗系の民間宗教者である。被慈利(非事吏)とも呼ばれたように、半僧半俗の勧進聖(俗聖)として西日本の鉢叩・茶筅と対をなす存在としても知られている。柳田国男や堀一郎らの民俗学・宗教史学の立場からの研究も積み重ねられてきているが、もうひとつ実態が鮮明になっていないこと、地域社会との関係性が明らかにされていないこと等が不満である。

そして、何よりも、この鉦打と呼ばれた人々が、近世中・後期、「穢多・非人同然の者」という賤視を受け、様々な差別に直面していた事実を認識すると共に、その要因や背景を解明しなければならないと考える。以前から、雑種賤民(近年では多様な被差別民)と呼ばれてきた民間宗教者・芸能民の研究が部落史の課題となってきているが、鉦打の研究は特に東日本において大きな比重を占める課題であると思われる。この点が、鉦打・時宗研究会の活動を当研究所のプロジェクトに位置づける所以である。

もう一つ、私達が強い関心を抱いている点は、近世部落と時宗寺院との深い関係性である。かつて、西日本の部落は圧倒的に浄土真宗との寺檀関係にあったのに対し、東日本の部落は在地の諸宗派と寺檀関係にあって特定の宗派との関係は認められないと理解されてきた。しかし、近年、地域部落史の研究が進展するにつれて、東日本の部落と時宗との寺檀関係には予想外の広がりが見えてきた。

勧進聖の鉦打を宗門の末端に位置づけてきたことと、広く近世部落と寺檀関係を結んできたこととが、時宗の教義なり教団活動なりから必然的に生じてきたものなのか。このような関心と課題設定から、本会は鉦打・時宗研究会と名づけられ、二〇〇八年一月発足した。この問題に関心を持つ、研究所内外の方々の参加を呼びかけている(大熊哲雄)。

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